宮城県大崎市の日本酒「一ノ蔵 すず音」
今回の日本酒は、創業1973年(昭和48年)から現在2020年(令和2年)まで日本酒を造り続けている宮城県大崎市の酒蔵「一ノ蔵」の日本酒です。
今では珍しくはないですが、スパークリング日本酒(発泡清酒)のお酒です。グラスに注ぐとプチプチと泡が踊らせ、なめらかな口当たりと甘酸っぱさが発泡して口中で弾けていきます。
そんな日本酒業界で更に注目を浴びるであろうスパークリング日本酒を仕入れましたので、ご紹介したいと思います。
【一ノ蔵 発泡清酒 〜すず音〜】
こちら数量限定品の日本酒となっていますが、現在では比較的に手に入りやすい日本酒です。冷えたグラスに、冷酒で飲むのがおすすめです。冷やすことによって、「すず音」最大の特徴の甘酸っぱさと軽快なフレッシュ感を楽しめると思います。ただ、日本酒の温度は好みになるので、色々な温度で楽しんでください。
まずグラスに注ぐと、プチプチときめ細かい小さな泡で発泡を楽しませます。その発泡からの香りは、リンゴや洋梨のような爽やかな香りが立ち上ります。口当たりは滑らかで、きめ細かい泡が喉を優しく潤していきます。シャンパンのようなイメージを持たれる場合が多いのですが、お米の優しい旨味もしっかりと感じれる立派な日本酒です。後味は、甘酸っぱい風味が余韻を残し、飲み手を誘惑します。
マッチングに合う料理ジャンルは、フランス料理や白身魚を使用した料理。酸味の利いたワイン煮込みのお肉料理や、白身魚のムニエルなど「すず音」の甘酸っぱさの酸味とマッチングし相乗効果を発揮すること間違い無いです。イタリア料理では、白身魚のアクアパッツァ、パスタ料理のペスカトーレやボンゴレビアンコなども相性は抜群だと思います。和食だと、白身魚の刺身あたりがおすすめです。食後酒にも良いと思うので、食後の一杯とデザートでマッチングをするのも楽しいですね。
原料米
使用米:トヨニシキ他
精米歩合
65%
日本酒度
−90 〜 −70
酸度
3.0〜4.0
酵母
協会901号(熊本酵母)
管理方法
10℃以下の温度変化が少なく、光の当たらない場所で保管。デリケートな日本酒なので、早めに召しあがるのが推奨。
★スパークリング日本酒と、日本酒業界のパイオニア?!
スパークリング日本酒の一番最初の立役者「すず音」。現在のスパークリング日本酒といえば、何が思い浮かぶでしょうか?多くの方は、宝酒造(京都府伏見)の日本酒「澪」が先に思い付くと思います。この日本酒は、2013年からテレビCMなどの広告に力を入れて、スーパーや身近なお店にも並ぶようになりました。そして見事にスパークリング日本酒のブームを巻き起こしたのが「澪」という日本酒です。そして、スパークリング日本酒の立役者、すなわち一番最初に手がけた日本酒が一ノ蔵の「すず音」なのです。なので、「澪」が発売されるまでは、スパークリング日本酒は「すず音」のみだったのです。
★日本酒業界に新たな風を吹かせる
この「すず音」という日本酒の開発には10年の歳月をかけ、その成果が実りようやく安定して醸造・製造ができるようになったそうです。誕生のきっかけも面白い。当時の一ノ蔵3代目社長がヨーロッパへ視察旅行に行き、ベルギーの「ランビック」というビールに出会ったそうです。そのビールは、ワインを彷彿とさせる酸味と香りが高いビールで、日本人のビールのイメージを覆すものだったのです。更にオーストラリアには「ホイリゲ」というワイン酒場があり、そこではジョッキにワインを入れ、ビールのようにグビグビと現地の人は飲んでいたそうです。
外国のお酒の飲み方や向き合い方に、「日本酒だからと言って、固定概念にとらわれなくても良い。もっと多様な造り方や飲み方があってもおかしくない」と強く感じて帰国。帰国後は研究を重ねて、低アルコール酒の開発から始まり「すず音」が誕生したそうです。
現在(2020年)の日本業界は低アルコールの日本酒や、スパークリング日本酒、ワイン酵母やシャンパン酵母、他にも樽で熟成させる日本酒だってあります。固定概念にとらわれない日本酒造りが、今の日本酒時代だと思います。もしかしたら、「すず音」誕生がこの時代の幕開けをもたらしたのではないでしょうか。
★シャンパンでは出せない、お米の風味もしっかりと感じる発泡爽酒!
シャンパンと同じ瓶内発酵を実現させている「すず音」。瓶内発酵は簡単にいうと、一旦完成させた日本酒を瓶詰めし、新たに酵母や糖を入れたもの。なので言葉の通り、瓶の中で発酵して発泡しています。シャンパンも同じような造り方をしています。しかしシャンパンではなく、あくまでも日本酒なのが「すず音」の良いところです。
「すず音」は、にごりがあるので飲む前に2回〜3回上下にゆっくり振ってグラスに注いでください。グラスに注ぐと、きめ細かい小さな泡で発泡のお出迎えです。色は、うす濁りで綺麗な雪化粧の様。香りは、りんごや洋梨を思わせる爽やかで水々しい香り。小さな泡が発泡するたびに、その香りが立ち上ってきます。口に含みときめ細かい泡が優しく喉を通り、果実の様な甘酸っぱさと香りが広がります。後味は、その香りを余韻にしお米の優しい旨味や風味が後を追っかけてくるのです。
シャンパンの様な後味ではなく、甘みの他にお米の旨味も楽しめる立派な日本酒となっています。
★フランス料理やイタリア料理のお供に
甘酸っぱい爽やかで優しい香り、旨味がのるフレッシュ感のある飲み口。位置付けは、濃厚甘口で爽酒の日本酒。「すず音」の持つ甘酸っぱさと酸味がワインで煮込まれたお肉料理や、白身魚のムニエル、複雑なソースとの相性は抜群です。
イタリア料理では、白身魚を使用したアクアパッツァ。ムール貝やあさり等の貝類を使用した料理も良いですね。例えばパスタ料理のペスカトーレやボンゴレビアンコなどはいかがでしょう。貝類の旨味との相乗効果で食欲も増えます。食後酒にも最適です。食後のデザートと一緒に召し上がるのも最高だと思います。
日本酒業界のパイオニア。これからも日本酒は進化し続けるでしょう。