今回は、日本酒を造る際に必ず必要な「お米」について学んで行こうと思います。
酒米と言われる日本酒に使うお米は、普段のご飯を炊く食用米とはどのように違うのか。お米の違いで、味や風味などが変わってくるので面白いですよ。
★酒造好適米とは
日本酒で使われるお米は、僕たちが普段ご飯として食べているお米とは形状や特徴が違います。この日本酒の原料に適しているお米を「酒造好適米」や「酒米」などと言います。では、食用米と酒米はどう違うのか?酒米の特徴を抑えながら、わかりやすく説明していきたいと思います。
◆米の粒が大きく割れずらい・・・酒米は「精米」という酒造りの工程で、表面を大きく削る必要があるため、食用米よりも粒が大きい。表面には、タンパク質や脂質が多く含まれ、日本酒の雑味や苦味になります。表面を削る事でそれらの成分を少なくします。
◆心白(しんぱく)が大きい・・・「心白」とはお米の中心部に白く不透明な部分の事をいいます。この部分は、デンプン質の間に隙間が沢山あって白く見えます。この隙間に麹菌が深く根ざして良い麹ができ、美味しい日本酒ができます。
◆醸造適性がいい・・・日本酒の醸造のしやすさを「醸造適性」といいます。蒸米吸水率、外硬内軟(がいこうなんなん)、麹の造りやすさなど、適しているかどうかが重要となっていきます。
★酒造好適米の種類
酒米は、全国各地で100種類以上が栽培されていて、その土地や地方ならではの酒米の研究をされています。100種類もあるので、覚えようがありません。笑
ですが、これだけは知っていただきたい有名な酒米がありますので5つご紹介します。
◆山田錦(やまだにしき)
主な生産地:兵庫県
酒米の王様とも言われる「山田錦」。酒米の中でも全国一の生産量を誇っていて、その9割以上が兵庫県で生産されています。山田錦を使用したお酒は、香味が良く、吟醸造りに使用されることが多いです。鑑評会に出品する日本酒なども山田錦を原料として造られる事が多く、人気銘柄「獺祭(だっさい)」は原料米は全て山田錦を使用されているそうです。
◆五百万石(ごひゃくまんごく)
主な生産地:新潟県
山田錦と並ぶ二大トップとして知られる「五百万石」です。全国の生産量は第2位を誇る代表的な酒米です。五百万石を使用した日本酒は、淡麗でスッキリとした味わいに仕上がるのが特徴です。新潟のお酒は「淡麗辛口」と言われていますが、この五百万石の効果があるともされています。
◆美山錦(みやまにしき)
主な生産地:長野県
全国の生産量第3位の酒米が「美山錦」です。突然変異によって誕生した比較的に新しい酒米。美山錦を使った日本酒は、五百万石に近いさっぱりとした味わいになるのが特徴です。東北地方全体でも栽培されています。人気銘柄「新政(あらまさ)」は原料米に美山錦を使用する事が多いです。
◆出羽燦々(でわさんさん)
主な生産地:山形県
吟醸王国とも呼ばれている山形県の酒米「出羽燦々」。名前の由来は、「山形県が生んだ酒造好適米にふさわしく、印象の強い名前にしよう」と選ばれたのがきっかけ。出羽燦々を使った日本酒は、キレのある味の良さの淡麗な味わいになるのが特徴です。
◆雄町(おまち)
主な生産地:岡山県
酒米で最古参の種目であり、山田錦や五百万石のルーツなっている酒米「雄町」。雄町を使った日本酒は、横に広がる香りと、山田錦よりもコクがある味わいが特徴です。またお米の旨みの余韻が残りやすい印象があります。オマチストと言われるファンがいるほどの酒米です。
代表的な酒米を5つあげて、それぞれ簡単に説明させていただきましたが、まだまだ足りないくらいです。笑
食用米でも日本酒を造る技術が確立されていて、酒米だけが原料米にはならない時代となっています。
日本酒を選ぶ際に、この酒米などの原料米に基準に置くのもいいと思います。どの酒米が自分にとって好みなのか、考察しながら飲んでみるのも面白いと思います。また、酒米だけでも奥が深いので、地元の酒米など調べてみるのも面白いかも知れません。
★まとめ
酒米は、種類によって味も風味も変わってくるので日本酒造りにとって重要な要素の1つです。全国各地が研究を重ねて研鑽し生産されていくので、種類は100種類以上と沢山の酒米があります。今回は5つの代表的な酒米をご紹介しましたが、ぜひ他の酒米で造られた日本酒も楽しんでみてください!