栃木県さくら市の日本酒「仙禽」
今回の日本酒は、創業江戸時代後期の文化3年(1806年)〜現在令和2年(2020年)まで日本酒を造り続けている栃木県さくら市の蔵元「せんきん」の日本酒です。平成20年(2008年)に「仙禽酒造」という名前から、「株式会社せんきん」と改めて、新しいスタートを切りました。従来の日本酒の常識を覆す斬新なアイデアを追求する一方で、昔から伝わる酒造りにも取り組んでいます。
兄弟で仙禽を切り盛りしている蔵元で、兄が11代目蔵元として、専務取締役に就任し、弟が杜氏となって日本酒を生産されています。
兄はソムリエスクールの講師だったそうで、その知識や経験から「酸味や甘みが肉料理などの油が多くなる料理にマッチする」ということを信じていたそうです。
それから、料理ジャンルが多く、食の多様化をした日本には「甘酸っぱい日本酒」がこれからの時代の日本酒だと確信し、日本ではタブーとされていた酸味のある日本酒を生産しようと決めたそうです。
それが結果となり、次世代の日本酒銘柄に名乗りをあげている人気の日本酒となり、若い世代でも和食以外の料理に飲まれています。
甘くて酸味のある日本酒を目指して、斬新なアイデアや手法で日本酒を生産されている銘柄です。
そんな「仙禽」には色々な日本酒をシリーズ化されています。今回は、昔ながらの手法で造られたクラシックシリーズと言われている日本酒を仕入れたので、ご紹介していきます。
【クラシック仙禽 無垢 生酛】
蔵元本命の晩酌酒となるクラシックシリーズの定番となる「無垢」の日本酒です。安定感のある味わいと、料理の相性の広さは仙禽の中でも断トツとも言われています。
おすすめの日本酒の温度は 、冷酒から熱燗まで美味しく飲むことができます。料理との相性が抜群の味わいや風味を持っているので、料理の温度やジャンルによって飲み方を変えることができます。
冷酒(5℃〜10℃)だと香りは控えめでスッキリ飲めるし、熱燗(45℃〜50℃)だと香りや旨味が広がるので味わい深く飲むことができます。※日本酒の温度は好みなるので、色々な温度で楽しんでください。
香りは、決して目立つ感じではなく、落ち着いた果実香を柔らかくした香りがします。口当たりは、まろやかな食感と酸味が後から追っかけてくる様なさっぱりとした印象を受けました。口に含むと、甘い果実香が生酛ならではのお米の旨味を引き立たせて、コクがある味わいになっていきます。後味は、酸味の効いたさっぱりとした軽快感と、スーっとゆっくりキレて行き、心地がいい風味や香りを残していきます。
原料米
麹米:栃木県さくら市産山田錦(ドメーヌ・さくら山田錦)
掛米:栃木県さくら市産山田錦(ドメーヌ・さくら山田錦)
精米歩合
麹米:40%
掛米:50%
日本酒度
非公開
酸度
非公開
アルコール分
15度
酵母
栃木県酵母
管理方法
10℃以下の温度変化が少なく、光の当たらない場所で保管。抜栓後はなるべく早めに空ける。
★ドメーヌ化を目指す無垢な日本酒
仙禽の斬新なアイデアとして知られているのが、日本酒の「ドメーヌ化」というものです。「ドメーヌ」は、ワイン造りで使われる言葉で、原料となるブドウ畑を所有していて、ブドウの栽培や瓶詰めに到るまでワインの製造を全て行う生産者のことを言います。
このドメーヌを日本酒造りに取り入れたいと仙禽は考えています。元ソムリエスクールの講師ならではの蔵元の発想です。しかし、酒米の生産者と日本酒の製造者が分離しているのが一般的なので一貫生産には難しく、ドメーヌ化は決して簡単ではないのです。
そんな難しい状況でも、仙禽はドメーヌ化にこだわります。酒米は蔵元がある栃木県さくら市で栽培している「山田錦」「亀の尾」「雄町」の3種類の酒米を使用しています。さらに栽培で使われている田んぼの水を、日本酒での仕込み水にも使うことにより、日本酒のドメーヌ化を再現しています。なので原料米に、「ドメーヌ〇〇」と記載されていることがあります。
クラシック仙禽の「無垢」という意味は、金や銀などの混じり気がないことを表して、この金や銀は「亀の尾」や「雄町」を意味しています。素朴で純真なスタンダードこそが、この「無垢」という意味だそうです。
仙禽の日本酒造りのこだわりが、飲み手までも感じさせられる日本酒です。
★和食料理、ステーキなどの肉料理とマッチングで美味しく飲もう
酸味がしっかりして、それでいてコクのある爽やかな風味をもたらす「クラシック仙禽 無垢」は、淡麗中辛な旨口の日本酒。
日本酒温度は冷酒から熱燗まで楽しめるので、飲みたい温度や食べたい料理と合わせやすいです。
冷酒(5℃〜10℃)で飲むなら、マグロやブリの脂が多い刺身や酸味のあるピクルス。冷や(10℃〜15℃)なら、お寿司やだし茶漬け等のご飯物。熱燗(45℃〜50℃)なら、おでんや肉じゃがなど出汁を使った料理がいいと思います。ステーキなどの肉料理にも、日本酒の酸味と旨味がバッチリ合います。